The Darjeeling|ザ・ダージリン オフィシャル
The Darjeelingの2ndアルバム「Te」が発売された。全16曲が収められた初のフルアルバムである。 本アルバムは構想2年、曲作り4 年、レコーディング10ヶ月が費やされている。他項でご紹介したように、ダージリンメンバーは全員ビジネスマン。内数名は会社経営者である。従って5人の会う時間は限られており、今回のレコーディングはいかに効率よく高品質のレコーディングを費用をかけずに行うか?がテーマとなった。
そこでリーダーのSatoshianiが採用したのが、セルフレコーディング。そもそもレコーディングとは①録音する時間②ミックスする時間③マスタリングする時間を段階的に要する。すべてはかかる時間=費用であるわけだ。特にエンジニア人件費は膨大な時間を要するので、インディーズバンドは制限時間を決めて妥協込みで作業を進めていくのが一般的である。
そこで採用されたのが、全てを自分たちで行うセルフレコーディング。そのために必要な機材(マイク・ミキサー・DTMソフト・モニターシステム・マスタリングソフトなど)を自分たちで持ち、自宅録音が不可能なドラム録音のみレンタルスタジオで行う作業を選んだ。2019年11月に始まったレコーディングは、ドラムのNaokiの音を集中的にスタジオ録音し、ギター・ベース・キーボードなどの楽器はそれぞれが自宅録音でオーバーダブしていく作業が続く。2020年1月にはCOVID-19(コロナ)が地方のスタジオを襲うことになる。つまり、自宅でのオンラインレコーディングが必要不可欠となってしまったわけだ。
レンタルスタジオは全てコロナの影響で一時閉鎖。メンバーそれぞれも本業(経営している会社など)が暇になり時間が有り余ることになる。そこで、リーダー:サトシアーニは、自宅録音およびミックスにこもることに。ギターやベースはそれぞれのメンバーが宅録したものを支給し合い、ボーカルはUGの自宅や、Satoshianiのオフィスで録音が続けられた。
今回のDTMソフトにはProtoolsが、そしてマスタリングソフトにはOzone9が採用された。また一部打ち込み(M4:風)には、Perfect Drumやガレージバンドのサンプリング音源を採用。SatoshianiのYouTubeチャンネルでは、作業テクニックの一部が動画掲載されている(リンク:https://www.youtube.com/channel/UCd01_3vWlDegMHw9B7Hg-WQ)
ダージリンが前作 [No Nukes]から変化したことの一つとして、メンバーが入れ替わっていることも大きい話題である。新メンバーのBassのKibeは [No Nukes]の発売直後からのメンバーで、旧作レコーディングには参加していない。[Te]の後半(M10〜16)でリマスタリング収録されている [No Nukes]のベースを全てリテイク(Kibe本人が弾いたもの)として差し替えられており、完全に現メンバーのバージョンとなっいることもニューアルバムの特徴の一つである。是非旧作と聞き比べをしていただきたい。